詳しい人が1人いる会社は、なぜ強いのか
大規模なシステム開発ではなくても、社内に少しITやDXに詳しい人がいるだけで、日々の業務改善スピードはかなり変わります。
前回の記事でも触れましたが、業務プロセスのご相談を受けていると「社内にITの基礎知識を持つ方が1人いれば、すぐに自社で解決できるのに」と感じるケースが多々あります。
組織のIT推進力を高める上で最も重要なのは、「現在の業務プロセスが非効率である(イケてない)」と気づける視点を持つ人材が社内にいるかどうかです。
ITリテラシーと「改善の視点」は表裏一体
そのような視点を持つ人材がいる組織では、「この手作業は無駄ではないか」「もっと良い方法があるはずだ」という議論が日常的に生まれます。
これは、大規模なシステム開発に限った話ではありません。入力フォームの整備、手作業による転記の削減、生成AIを用いたデータ整理など、日々の業務における「小さな改善」の積み重ねです。1日5分の作業短縮であっても、塵も積もれば大きな工数削減となり、組織全体に「無駄を減らそう」という改善の文化が定着します。
しかし、この「改善に向けた視点」は、一定のITリテラシーがなければ育ちません。「どのようなツールが存在するのか」「AIを使えば何がどこまで自動化できるのか」という引き出しを持っていなければ、そもそも「ツールで改善できる」という発想自体に辿り着けないからです。ITリテラシーの高さと、業務を改善できる視点は、表裏一体の関係にあります。
「現場の業務理解」×「ITリテラシー」が最強の理由
近年は生成AIや各種SaaSなど、安価で便利なツールが急増しています。しかし、ツールを導入したものの形骸化して使われなくなってしまった、という失敗例は後を絶ちません。
この原因の多くは、「ツールありき」で現場の業務フローを無視していることにあります。誰が使うのか、どこが本当にボトルネックなのか、実際の運用に耐えうるか。現場のリアルな業務を最も深く理解している社内の担当者が、ITやDXの知識を身につけて主導する。これこそが、最も確実で効果的な業務改善の形です。
コミュニケーションコストの大幅な削減
また、社内にITの判断材料を持つ人材がいると、金銭的な外注費だけでなく、目に見えない「コミュニケーションコスト」も大幅に削減されます。
外部のシステム会社にちょっとした改善を依頼する場合、「自社の業務フローの説明」「要件の定義」「認識のすり合わせ」といった調整業務に膨大な時間がかかります。社内に詳しい人材がいれば、このプロセスをショートカットし、即座に改善に向けたアクションを起こすことが可能になります。
「自走できる組織」を育てるための伴走支援
もちろん、高度な技術を要するすべてのシステムを自社で開発・運用する必要はありません。「自社で改善できる部分は自社でスピーディーに対応し、専門的で難易度の高い部分だけを外部のプロに頼る」という切り分けができる状態が、現実的かつ最強の組織体制です。
私たちが提供するサービス 専任担当者がいない会社の「社外IT相談役」 では、現役のエンジニアが御社の担当者様の伴走役となり、AI活用、社内ツールの設計、小規模な自動化などを通じて、「社内で業務改善を推進できる人材」を育てるサポートを行っています。
次回のテーマ:「動くシステム」と「安全な運用」は別の話
このように、社内でツールを作り、改善を進められる体制は非常に強力です。
しかし、実際に運用を開始するフェーズに入ると、新たな課題に直面します。
それは、「とりあえず動くこと」と「実業務で安全に運用できること」は全く別の問題である、ということです。
生成AIやノーコードで簡単にツールが作れるようになった分、権限管理やデータ設計の甘い「動くけれど危ないシステム」が本番運用されてしまうリスクも高まっています。
次回の記事では、この「内製ツールを安全に運用するためのセキュリティとプロのレビューの重要性」について詳しく掘り下げていきます。